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「医療現場のiPad/iPhone活用」最前線

11月15日(月)1時43分配信 TechTargetジャパン

総務省は2010年5月、光ファイバー回線やクラウドコンピューティングを駆使して、日本の次の成長戦略を考える「光の道」構想を打ち出した。これが実現した場合、2015年までに全世帯でブロードバンドサービスの利用が可能になる。【翁長 潤,TechTargetジャパン】

 ソフトバンクの代表取締役社長、孫 正義氏はこの構想を受けて、教育・医療分野を中心にiPadなどの携帯通信端末を無償配布し、電子化促進による利便性の向上やコスト削減などを提言。動画共有サービス「Ustream」を通じて、積極的に発信してきた。

 ソフトバンクは11月5日、「ITで医療は変わるのか? ~孫 正義と9人の医療従事者が徹底討論~」と題する討論会を開催し、Ustreamで生中継した。この討論会では、ITを活用して医療現場の変革に取り組む医療従事者グループ「チーム医療3.0」の活動内容を紹介。さらに、今後の医療分野のIT化「医療クラウド」についての議論を行った。

 その模様はUstreamのアーカイブで閲覧できるが、前・後編で159分、35分とかなり長い。そこで、今回から2回に分けてチーム医療3.0が取り組んでいる活用事例を中心に討論会の内容を紹介する。医療現場で進むiPad/iPhone活用の現状を知ることができるだろう。

●討論会登壇者

孫 正義氏(ソフトバンク 代表取締役社長)
杉本真樹氏(神戸大学大学院 医学研究科 内科学講座消化器内科分野 特命講師)
高尾洋之氏(東京慈恵会医科大学 脳神経外科学講座 助教)
狭間研至氏(一般社団法人 在宅療養支援薬局研究会 理事長・ファルメディコ、ハザマ薬局 代表取締役社長)
姜 ●鎬氏(ケアネット メディア事業部長) ●=王へんに「基」
金井伸行氏(金井病院 理事長)
網木 学氏(済生会栗橋病院 外科 医長)
宮川一郎氏(習志野台整形外科内科院長)
遠矢純一郎氏(医療法人社団プラタナス 桜新町アーバンクリニック 院長)
片山智栄氏(医療法人社団プラタナス 桜新町アーバンクリニック 看護師)

●チーム医療3.0が掲げるのは“脱Webシステム”

 そもそもチーム医療3.0とはどのようなグループなのだろうか? 神戸大学大学院の杉本氏は「医療現場では“痛み・苦しみ・悲しみ”が存在し、そこから健康になることを目指し、その先に幸せが続いている。“その幸せをもたらすために医療従事者ができることは何か?”を考えてきた」と説明。チーム医療3.0は、その実現ツールとしてiPadやiPhoneなどの携帯通信端末の活用を普及させている集団だという。全国各地で取り組んでいた医療従事者がアップルの講演やイベントを通じて交流を持ち、現在のメンバーになったという。

 杉本氏は、近年の医療分野では「外来や救急診療、在宅、周産期、教育などにおけるサービスの多様性への対応が求められている」と説明。しかし、そのために必要な情報伝達手段やシステム、アプリケーションの最適化が困難であったという。その背景として「医療においては規模の経済(スケールメリット)が働かない」「社会は“医療という究極的な善意”には経済を適用しない」「医療機器や医療システムなどの高コスト体制が築かれた」などを挙げている。その結果、互換性や接続性、継続性などを許さない医療ビジネスの枠組みが固定されてしまったという。

 杉本氏はそうした分業化(細分化)や専門化が進んだ状態を「医療1.0」と表現する。医療1.0では組織がピラミッド化し、医療システムにおいてもレガシーシステムを頂点とするピラミッドが形成された。

 その後、医師の新しい研修方式として、内科・外科・小児科・産婦人科などの多科研修を行う“全領域型の医師育成(スーパーローテート)”による「医療2.0」へと変化。医局は解体されたが、医療従事者の意思決定や技術習得、経験、人材リソースが流動化してしまい、その制御・機能がマヒして地域格差や医療崩壊を招いたという。また、高齢化社会の到来による医療の需給バランスの崩壊を助長するなど、医療2.0の仕組みにも限界があると指摘した。

 そうした仕組みを変革するのが「医療3.0」であるとし、杉本氏は「個人で使用できる携帯通信端末などのインターネット接続汎用機に活路を見いだし、今後の世代交代を見据えた“医療のバージョンアップ”の意味で活用している」と説明した。

●チーム医療3.0が“医療3.0”に込めた思い

(1)情報時代を前提に、医療モデルを再構築する
(2)効率化のためのICT活用ではなく、ICTで仕組み自体を変える
(3)医療従事者が働きがい・喜び・誇りを持てる環境を創る
(4)日本の産業、教育も次世代へつなげる
(5)次世代で、これまで投資した医療費を取り戻す

 医療3.0の具現化として、杉本氏は「医療クラウド」構築を挙げた。医療クラウドとは高速なインターネットを基盤とした医療情報の共通基盤のことで、杉本氏は「医療クラウドは、単に電子カルテをWeb化することではない」と説明した。

 また、その先の将来像として「医療4.0」を掲げ、「絶対的な産業競争力のあるポジションを確立し、医療福祉の産業モデルを確立し、外需を得る。教育と科学技術研究およびインフラ整備を推進する」ことを目指すという。

 ここからは、チーム医療3.0のメンバーが取り組んでいるiPadやiPhoneの活用事例を紹介する。

●宇宙での遠隔手術も可能になる“医用画像情報の活用”

 「もし今、坂本竜馬が生きていたら? 彼はiPadを持って世の中を渡っていただろう」。先述の杉本氏は、現在の医療現場を「高度な医療機器・情報システム、医学的知識、医療技術が聖域化された“医領鎖国”が、外部からの参入を妨げている」と表現した。また、診療科や地域、学閥、企業などから行政、司法、官民に至るまでさまざまな障壁が存在し、それらを取り払う道具がiPhoneやiPadなどの携帯通信端末だと説明する。さらに「誰でも使えるという汎用機である点が、その垣根を下げる上で重要だ」と強調し、医療現場におけるスマートフォン活用メリットとして「鮮度のある情報をリアルタイムで入手・入力・共有できること。また、医療従事者自身でもアプリケーションを作成できる点」を挙げている。

 現在、iPhoneやiPadには患者情報や医療画像、医学教育、薬剤参照などの医療関連アプリケーションが4000種類以上存在する。

 杉本氏は、医療画像参照ビュアーiPhoneアプリケーション「OsiriX」の開発者でもあり、討論会では医用画像情報をiPadやiPhoneなどで活用する取り組みを紹介した。OsiriXを活用すると、CTのデータから立体構造の情報を取り出し患者の腹部に投影して、腹部内部の画像を見ながら手術を行うことができる。

 杉本氏は、汎用的な端末で高度なアプリケーションが活用できるようになったことで「情報の一元化、共有の高速化を実現し、医療健康のインセンティブを生むことになる」と説明する。

 iPadを活用すると、従来はカンファレンスで行っていた検査診断などでも、各個人の専用端末で同じ画像を共有したり、実際に画像をタッチしてスライドさせながら、検査診断から治療戦略までを策定できるようになるという。

 また、iPadを回診で用いると患者の近くで情報を入力したり、医療情報や画像などを参照しながら患者本人への説明が容易になる。その結果、患者にヒアリングした結果をナースステーションまで持ち帰って入力する作業も不要となる。そのほか、携帯通信端末を個人で所有することで、院内感染の原因となる菌の媒介を軽減する効果も期待されるという。

 OsiriXは医師向けeラーニングシステムとしても活用できる。OsiriXでは実際の患者のCT画像を基に3D画像を作成してより立体的な身体構造を参照できるため、医学書などの奥行きのない状態よりも現実に即した形で学習できる。既に神戸大学の図書館の端末にはOsiriXが導入されており、医学生はいつでも学習に必要な医療画像を参照できるという。

 さらにOsiriXは、患者のCT情報から3Dプリンタを活用して立体モデルを作成する「3D CAP(Computer Aided Prototyping)」にも用途が広がっている。これにより、患者の臓器構造を型取った模型を手に取ってみたり、患者への説明や手術計画、手術のシミュレーションなどにも生かせるという。また、裁判員制度における「Autopsy imaging」(Ai:死亡時画像病理診断)にも活用されている。

 杉本氏によると、スイスのジュネーブ大学では3Dメガネをかけて、iPadを用いた手術が実際に行われているという。また、バイタルなどの情報を参照できるため、ドクターヘリや救急災害対応にも活用でき、さらに病棟間の医療画像の共有、診療所などの遠隔地通信にも対応する。杉本氏は現在、日本で薬事承認された「ロボット手術」にもOsiriXの導入を進めており、これにより「究極のへき地ともいえる“宇宙ステーションでの遠隔手術”にも応用できる」と説明した。

●医師臨床研修へのiPhone活用事例

 京都府伏見区の金井病院の院長である金井氏は、現在研修医を指導する立場にあり「医療現場における情報共有の重要を痛感している」と語る。医師が診断におけるエビデンスの提供や新たなスキルを身に付けるためには膨大な時間や労力が必要になるが、特に研修医は日々の業務に追われ、そうした時間を割くことが難しいという。そこで金井氏のグループでは研修医のためのスライド投稿システム「Resi-Share Pyramid」を開発し、研修医の目の前に立ちはだかる疑問を解決することに取り組んでいる。

 Resi-Share Pyramidは、研修医が作成したスライドを同じ病院やほかの病院の研修医と共有することで、相互に学習効果を高めるという情報共有システム。金井氏は、Resi-Share PyramidのスライドをiPhone上で参照可能にするアプリケーション「ケアネットMALS(Medical Active Learning System)」の活用事例を紹介した。金井氏によると「研修医は、常に激しく動く“モバイルワーカー”。いつでもスキマ時間で学習が可能になる携帯通信端末は重要である」という。

 また、金井氏のグループは2010年8月、医療施設3拠点を結んだケアネットMALSの実証実験を開始。その結果として「教科書では学べないような“3つのシェア”ができた」という。1つは、書籍に載っている医学知識だけではなく、現場で役に立つ実践的な知識を研修医自らがスライドにまとめて共有する「知識のシェア」。次に、鼻血やしゃっくりの止め方などの処置のコツを教え合う「技術のシェア」。最後に、患者とのコミュニケーションといった実体験を踏まえた情報を共有できる「成功・失敗体験のシェア」だ。

 金井氏は、場所を選ばない点がクラウドの強みであり、「多忙な医療従事者でも場所を選ばずに学習が可能」「書籍では得られない学習者目線の実践的な知識の共有」「アウトプットを意識した能動的な学習スタイルが可能」という効果があったと説明した。

 この実証実験の結果を踏まえて、金井氏は2010年10月から全国の病院に対してケアネットMALSの参加申し込みを開始した。約1カ月で既に51の病院から申し込みがあったという。今後は「クラウドの活用で医療者の生涯教育を容易にする」ことを目指し、動画配信や看護師、薬剤師向けのコンテンツを提供する予定だという。

●医師不足の解決策としてのiPad活用

 日本政府が発表した「2010年版 高齢社会白書」によると「2050年には人口の約40%が65歳以上になる」と予測されている。済生会栗橋病院 外科医長の網木氏は「日本は“世界一の高齢化社会”であることは知られているが、先進国では最小医療スタッフ、最低総医療費であることはあまり知られていない」と指摘。また、厚労省の調査によると「現在、日本では2万6000人の医師が不足している」という。網木氏が所属する済生会栗橋病院は、日本の医療崩壊についての著書を持つ本田 宏氏が副院長を務めている。

 さらに網木氏は「日本外科学会の新規会員の数は減り続けており、この状態が続けば2018年にはゼロになる」という予測も紹介。「外科医は“絶滅危惧種”といわれている」(杉本氏)ほど、医師不足の問題は深刻な状況のようだ。医師不足の解消策としては現在、医師の増員計画などもあるが、網木氏は「医師の育成には長い時間がかかる」と指摘し、特に新たなスキルを身に付けるための教育面に課題が多いと説明する。

 そこで網木氏のグループが取り組んでいるが「iPad/iPhoneを活用した医療教育」だ。網木氏は、画像動画参照用iPhoneアプリケーション「医療動画HD」の開発にも携わっている。医療動画HDは2010年10月、iTunesから無償ダウンロードできるようになり、一般向けにも公開されている。網木氏は、今後はある程度の閲覧制限を設けて、医師向けの手術用動画などを公開していきたいとしている。

 また、実際に網木氏が保有するiPhoneにはOsiriX画像や100以上の手術画像などが収められており、「紙の手術書で学習することはほとんどなくなった」という。こうした学習への道しるべを示すことで、減り続ける外科医を取り戻すことを支援するという。

 済生会栗橋病院では、iPadを活用して外科医がOsiriX画像を参照しながら手術を行っており、手術の安定性と若手の外科医への教育効果が高まった。さらに現在は看護師教育にも役立ているという。

 手術中のiPad使用に関して、孫氏が「手術用グローブをしている場合でも、iPadの使用に問題はないか?」と質問した。杉本氏は「特に問題なく動作する。この点は、米国の医師がとても驚いていた」と回答している。

 網木氏は今後、Twitterなどを活用して他業種や他施設との協力体制を確立したいと述べ、「医師不足の厳しい現状ではあるが、情報共有基盤としてiPadを積極的に応用していきたい」と語った。

 このプレゼンを受けて、杉本氏は「医師自らがアプリケーションを開発することで、臨床医の意見を反映した機能が数多く誕生している」と説明した。個人で使用可能な携帯通信端末末を活用し、その利用者自身が必要とするアプリケーションを開発したり、公開できる基盤が、そうしたサイクルを生み出しているといえるかもしれない。

 孫氏は、事例紹介プレゼンが終わるたびに「素晴らしい!」と称賛。また、「医師不足や医療費の問題はすぐに解決できるわけではない。しかし、技術を活用して生産性を上げる、こうした取り組みを地道に進めることが、その解決への突破口になるのでは」とコメントした。

ここまで、主に医師の診療行為や教育・育成における活用事例を紹介してきた。後編では看護師・薬剤師などの医療従事者、患者とのコミュニケーション、在宅医療などにおける活用事例を紹介する。

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